イマ

今だけの 私だけの感性で言葉を綴る

真っ黒なラズベリー

おととい、ブラックベリーを食べた

お店で買ったものではない

自分で育てたものでもない

他人の家で育っていたブラックベリーを。

 

道端で見つけた黒い実

あつい陽射しをカフェで遮り

やり過ごしたあと帰路についた

ビーチサンダルで歩くじゃり道は

ぎこちない歩き方になったが

苦もなく舗装された道路にでる

なにを考えるでもなく歩いていると

ふと、真っ黒な実が目に入る

ラズベリー?」

私のからだは硬直し、ただ真っ直ぐに

その実を見つめた

「黒いからクランベリー?うまそう。」

そこでハッとした

ここは自分の家でもなければ

はたまた知り合いの家でもないのだから…

おとなしく帰ろうと再び歩みを進める

しかし、黒い実が私の足を進ませない

「食べたい…」

そうは思いつつも

全く知らない人の家のインターホンを

押す勇気はなかった

しかし、ここである言葉がよぎる

イマここで変われないやつは

一生そのまま

 

押すしかないのか、俺

俺は変われないのか

いや、変わりたい

ここで勇気を出す自分と

勇気を出さない自分がいたら

勇気を出す自分でいたい

ならば押そう!

…とはいいつつ人はすぐ勇気がでず

家の周りをウロウロする

車はある…誰かいるはず…

若い人かな…おじいちゃんかな…

断られたら…

様々な思いが渦巻くが

いよいよ決断する

このままだと通報されるかも!

押すしかない!

なんともネガティブな理由だが

勇気は出た

インターホンを押してから言う言葉を

お経のように脳内で唱えながら

インターホンの前にいく

ピンポーン

 女性の方が出てくれた

しどろもどろになりながらも

通りかがりにラズベリーを発見し

美味しそうだから食べさせてほしいことを

伝えた。

すると、

「どーぞどーぞ、少しお待ち下さい」

と言ってもらえた。

声の音量が予想より大きかったので

怒られているのかと

はじめはビクビクした。

数分ほどして優しそうなおばあさんが

出て来た。

すると、手にジップロックを持ち、笑顔で

あれでよければどうぞお食べ下さいと

私を庭へ案内してくれた。

(この時、ラズベリーでもなくクランベリーでもなく、ブラックベリーだということが判明)

おばあさんがどうぞどうぞというので

遠慮なく1つ食べてみた

甘い!本当に甘い!

ベリーらしい甘さではないが

とてつもなく甘い!

しかし、砂糖のようにベタベタする

甘さではなくサッパリとした

果実らしい甘さだった。

おばあさんと

ホロリと取れる実が食べ頃だということ

でも、一番美味しい実を食べるのは、

気づいたら落ちてしまうから難しいこと

そんな話をしながら

黒くなった実を見つけてはパクパク食べた

半分ほどジップロックに入れながら。

黒い実をほとんど食べつくし

再び帰路に着いた

別れぎわ、おばあさんにたくさん

ありがとうと言って感謝した。

おばあさんも楽しそうだったので良かった

 

自分で開いた扉

昨日まで自分にはこの黒い果実の甘さを

知ることはできなかった。

勇気出せた、一歩進めたと

喜びを胸に眠りについた

指先を紫色に染めながら

 

 

 お読みいただき

ありがとうございます‼